暗渠
母の気まぐれで暗渠に入ることになった。当日父上にそっけないブリーフィングを受けた。真っ暗、地下深い細いトンネル、水が流れている、首まで、出口まで半時間。あぷっぷ、ううー。近づいて来ると、目が宙をさまよう。
入り口でチケットを受け取った。70センチよ、幸運をだって。
地下へどんどん降りていく。深いぞ。
なんか歴史の解説があったりするけど、耳に入らない。立てこもって戦うときに水がくめるとか、どっかの山から水路を引いたとか、どうでもいい。
皆大集団で臨んでいる。興奮気味だ。
入り口では水がごうごうと音を立てて狭い水路に流れていく。どこへ流れていくのかは真っ暗で見えない。ちょっと偵察に行った父の報告では急激に深くなっていくらしい。水も冷たく、引き返す人もちらほら。
かやぴを抱っこしていた父上が、かやぴを母に渡して、ふみちっちを抱っこしてくれることになった。父上のヘッドランプももらって出直した。
暫く抱っこしてもらったら浅くなった。
後はどんどんイケイケだ。
エイラットでうんちをした水着で冒険だ
かやぴも探検だ
やっと外に出れた。
太陽がまぶしい。
こんなので行った人がいたんだ。
帰りは城壁の発掘トンネルを伝って戻る。
父上が待ってくれなくて泣く。
母にも見捨てられる。
やっと本当に外に出た。
かやぴは颯爽と歩く
ふみちっちは今になって無駄に冒険のふりをする。
エルサレムだ。
荷物を取りに戻ってお菓子を食べる。足が冷えてお腹が空いた。